模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回は筆者が作りかけで遺棄していたジンタイプインサージェントを使い、チッピングの実践をしていましたな。
今回はそのジンを使い、もうひとつウェザリングを紹介する。
雨だれ・錆びだれ汚れだ。
筆者がよくやるやつだね。
いつものアレですな。
「毎回説明するのが億劫になったから独立した解説記事を作る」
という。
筆者お約束のパターンだ。
それでは作業を開始しよう。
雨だれ・錆だれのイメージ図
例によって過去作品をみてみよう。
装甲面上部や奥まったモールド部分から、下に向かって流れたような跡があるのがお分かりいただけるだろうか。
過去作品はそれぞれ
- タミヤ パンターG型(後期型)
- タミヤ ヘッツァー(中期型)
- HGUC ザクI
だね。
どれも筆者が今年の1~3月にかけて作ったものですな。
今回はこれを実践してみよう。
今回の犠牲者 HG ジンタイプインサージェント
実践するに当たって使用するのはこちら。
前回に引き続きガンプラHGシリーズより
ジンタイプインサージェントだ。
筆者が変な状態で遺棄していたのをサルベージ。
塗装をして前回はチッピングの実験台にしたところだったね。
ついでなのでこの雨だれウェザリングの解説にも付き合ってもらう感じだ。
使用する道具
雨だれは液体塗料を用いたものが多いみたいだけど……
筆者はよくクレオスのウェザリングライナーシリーズを使う。
今回もそれを使ってみよう。
ウェザリングライナーはいくつか種類がありますが……
筆者が良く使うのは
- 錆色セットのスートブラック
- 泥色セットのディープブラウン
ですな。
頻繁に使うからか画像でもこの2本は他のものよりも短めです。
他に使うのは
- クレオス ウェザリングカラー用薄め液
- ガイアノーツ ガイアフィニッシュマスター
だ。
スートブラックで雨だれ風の汚れをつけてみる
それでは作業開始。
このサイドアーマーで試してみよう。
まずは錆色セットのスートブラックで。
こんな感じにちょこっと線を引いてみる。
これだけだとただの味気ない線だね。
んで溶剤を染み込ませたフィニッシュマスターを使って線を伸ばしてやる。
フィニッシュマスターの面部分ではなく、角とか端部分を使って線を伸ばしてやる感じ。
擦りすぎて線が消えてしまったらまた引きなおすところからやり直せば問題ない。
伸ばし方によって線がはっきり残ったりうっすらと残ったり。
この辺りはお好みで。
ディープブラウンで錆だれ風汚れをつけてみる
続いて今度は茶色系のライナーを使って錆だれ風のを試してみよう。
前回のチッピング作業でも使った、肩アーマー部分を用意する。
焦げ茶色の傷があるね。
塗装が剥がれて錆が浮いたような……。
今度は泥色セットに含まれるディープブラウンを使用。
前回施したチッピング部分から線を書き、やはり溶剤で伸ばす。
こちらは傷の錆部分が雨などで流れた感じに。
チッピング部分もウェザリングカラーなので、擦り過ぎるとそちらも落ちてしまうので注意ですな。
ウェザリングライナーはペン先を溶剤に浸しても線を引くことが出来る。
乾いた状態で引いた線よりも主張が強くなるので、強弱使い分けるときに利用するのもいいだろう。
さっきのヘッツァーに施された、車体前面左側のバイザーブロックから流れている茶色は溶剤で浸したウェザリングライナーで引いた線。
かなり強めの錆だれに見えるね。
その他ウェザリングライナーで色々と
せっかくのウェザリングライナーなので他にも活用法を。
ドライブラシ同様、装甲面の角に塗ることで塗装が剥がれて錆が浮き出た表現ができる。
ペン先でトントン突っつくように塗ってやると、チッピングのようにぶつかって塗装が剥がれたようにも見えますな。
液体の塗料と違って極小面積でもコントロールしやすいのが利点です。
今回はあまり出番のない錆色セットのラストオレンジとかの錆系。
それらの色はトントン塗りでアクセントに使うといいかも。
他にも機体のあちこちに雨だれ・錆だれを追加する。
赤い「K」のマークは錆色セットに含まれるラストレッドを使用。
マーキングに使われた赤い塗料が流れた感じをプラスしている。
赤文字が流れていると流血表現みたいでちょっとゾクっとするというか。
エナメル塗料とかでも塗料が流れたようなのは表現できますが……。
ウェザリングライナーは固形上にコントロールしやすいのが利点ですね。
全体像はこんな感じ。
主に装甲面のチッピング部分やモールド部分など、水とかが貯まって流れそうな場所から線を引いている感じだ。
過去作の戦車類でもそうでしたが、広い面が単調にならないようになる効果もありますな。
その他仕上げ
雨だれ・錆だれは以上。
完成目前で放置するものアレなので
- 足回りの泥汚れ
- つや消しクリアー吹きつけ
- H・アイズなどクリアーパーツ貼り付け
を行いそのまま完成させてしまう。
足回りはクレオスのウェザリングカラー・グレイッシュブラウン。
戦車模型で行っているようなものなので、そちらの過去記事を参照に……。
とりあえずこれで完成。
以下、ギャラリーだよ。
HG ジンタイプインサージェント 完成!
ジンシリーズって原型が20年ぐらい前のキットだけど、ヒザ立ちは余裕でできるんだよね。
結構前の製品ゆえに単純な真っ二つ構造でそのままでは合わせ目が多めです。
ただ単純構造なので加工しやすいといえばしやすいのですが。
細部のアップ。
ウェザリングを施したところは是非ともよく確認してもらいたい。
非正規の武装勢力が使用したジンタイプインサージェント。
今回は整備が追いついていない感じを出すため、ややオーバー気味なダメージ表現にしていますな。
タイプインサージェント。
なんかかっこいい響きだね。
デスペラードみたいな。
インサージェント(Insurgent)は英語で暴徒とか反乱者という意味ですな。
武装勢力による改修機なので正式な型番や規格はなく、総称みたいなものです。
余剰となるノーマルジンのパーツと混ぜたり武器を変更したりして、設定とはまた違った装備のジンタイプインサージェントを作るのも面白そうだ。
以前作ったハイマニューバとの比較。
察しがいい方はお気づきかもしれませんが、ハイマニューバの脚についたカバーは通常のジンのバックパック下部のカバーパーツと同一です。
余剰パーツと思いきやそっちに使い回されているという。
ハイマニューバに施した加工と同じようなものを、今回のタイプインサージェントにも施している。
一連の過去記事を参照にしていただけると幸いだ。
作業まとめ
さて、今回の本題となったウェザリングライナーによる雨だれ・錆だれでしたが……。
手順を要約すると……
- ウェザリングライナーで線を軽く引く
- 溶剤を浸したフィニッシュマスターで線を伸ばす
だけ。
ものすごく簡易的というか。
拭き取りは筆や綿棒でもできますが、フィニッシュマスターは面と角があるのでより狙った拭き取りがしやすいのがメリットですな。
拭き取り作業ではモールドのスミ入れなどの奥まった部分まで拭き取ってしまうことがありますが、平面を持つフィニッシュマスターはそれがないという。
利点としては
- 溶剤成分がウェザリングカラー薄め液のみなので作業中の臭いが控えめ
- メインが固形のウェザリングライナーなので作業中あまり汚れない
- 液体の塗料に比べてコントロールしやすい
といったところ。
気になる点としては
- ウェザリングライナーの色数自体が現時点では少ないのでバリエーションに乏しい
- ライナーはセット商品だが、一部の色だけ減っていく感じになる
といったところ。
筆者の手元にある泥色セットは砂系の色が余り気味ですな。
筆者はよくエナメル塗料のバフや埃色でウォッシングをしますが、それの代わりに砂色系のライナーで雨だれをしても良さそうです。
なにか筆者に活用法を考えてもらわないと。
今回の雨だれ・錆だれはいわゆるストレーキングというものに近いかな。
ただあちらは見た感じ液体塗料を用いたものが多いみたいだけど。
ガイアノーツからはそれ専用の筆も発売している。
ストレーキングはもう少し規模が大きい雨だれ感がしますな。
今回のウェザリングライナーのは1本ずつ描いていく感じですが。
そのうちそちらにも挑戦してみたいものだ。
今回はこれで終了。
この記事が何か模型製作のヒントになれば幸いだ。
次回も、お楽しみに~。
この記事で作っているキット