模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回はコンボキット2機目の九九式軍偵察機が無事完成しましたな。
航空機模型を連続して作っているので、それに関したことを。
画面の向こうの諸君は、航空機模型でもっとも苦戦する箇所といえば何を思い浮かべるだろうか?
……うん。
勿論風防のマスキングだろう?
まだ誰も何も言ってないよ。
言ったということにしておきましょう。
というわけで今回は在庫のキットを使って、筆者がどのように航空機模型の風防マスキングをしていくのかを紹介しよう。
今回の犠牲機 ハセガワ キ51 九九式軍偵察機
実践するにあたって使うキットはこちら。
ハセガワより、九九式襲撃機/軍偵察機だ。
前回のものと同じ機体で同じメーカーじゃん。
というか前回作ったコンボキットの元になったものですな。
以前も言いましたが、大元はマニアホビーというメーカーのもの。
同社が倒産し、ハセガワに金型が引き取られて現在に至ります。
今回作るのはハセガワ移管後間もない頃の九九式襲撃機のキットのようだ。
箱なしの中古品を10年近く前に筆者が購入・放置していたものとなる。
付属品はこんな感じに。
パーツは前回のコンボキットと同一品です。
今後仮にハセガワからまた九九式襲撃機のキットが出たら、またこのパーツがついてくるのかな?
付属デカールはこんな感じ。
マーキング類は後のデカール替え限定再販品とは異なるものとなっている。
なんか古そう。
崩れたりしないよね?
収録されている塗装は3種類。
- 飛行第44戦隊 襲撃機 中国・朝鮮(明灰色の下地に濃緑色・ダークグリーンで上面迷彩)
- 独立飛行第49中隊 軍偵察機 台湾・南西諸島(明灰色の下地にブルーとネービーブルーの混色で上面塗装)
- 独立飛行第48中隊 軍偵察機 台湾・沖縄(明灰色の下地に濃緑色の上面塗装)
となっている。
今回は日本軍機では珍しい青系基調の2番、独立飛行第49中隊の軍偵察機で仕上げる。
この塗装が作りたくて、わざわざ筆者はこの中古品を購入したのだとか。
マスキングポイントまで進める
それでは製作開始。
なんだけど、基本的なことは直前に作ったコンボキットのものとほぼ同一。
詳しい流れはそちらを参考にしてもらいたい。
後部機銃の予備弾槽の部品選択や、機内の塗装が少し違うみたいだね。
こっちのキットでは機内が青竹色指定だね。
一昔前の日本軍機模型はとりあえず機内が青竹色指定のものが多いですな。
今回は直前に作った物同様、コクピット色(三菱系)で塗っています。
軍偵察機だから胴体側面や下面の偵察窓も開けて。
これで組み立てはほぼ完了……。
待った。
今回はマスキング解説。
テープはまだ貼るんじゃない。
アホな筆者が記事の主旨を忘れかけて貼り付けていますな。
本題 風防のマスキングをしよう
それではここからが本題。
風防の窓部分をマスキングしていく。
キットによっては対応した切り出し済みのマスキングシートが付属・別売りしている。
今回はそれらを使わずに、通常のマスキングテープを使って作業を進めていく。
マスキングシートもあれば便利ですが……
全てのキットが網羅されているわけではありませんからね。
筆者がよく使うのはタミヤのマスキングテープかクレオスのMr.マスキングテープ。
現在筆者のテープケースにはクレオスのがセットされているので、今回はそれで進めていこう。
とりあえずカッターマットにテープを貼り付ける。
貼り付けたテープをデザインナイフで格子状に切り出す。
これで小さい四角のテープになる。
一部は更に斜めに切れ込みを入れて、三角形にしておこう。
切れ味の悪い刃を使っていたり、うまく粘着していないと切り出し時にテープが刃に引っかかってはがれてしまうので注意ですな。
四角い窓のマスキング
それではマスキング開始。
まずは比較的シンプルな四角い窓枠で試してみよう。
四角い窓枠の1辺に合わせて、四角く切り出したテープを1枚貼り付ける。
テープの長さが足りないけど、ここでは気にしない。
とりあえず1枚。
残りの辺に合わせて、更にテープを貼り付ける。
今回は4枚のテープを貼り付けて1つの窓枠を埋めることに。
運よくぴったりのサイズで切り出せれば、もっと少ない枚数でもいけるかも。
三角形の窓枠マスキング
航空機の種類によっては三角形の窓枠部分もある。
九九式軍偵察機では前と後ろ部分に存在。
テープを三角形に切り出すことで対応しよう。
先ほどのように、四角く切り出したテープの対角線上に切れ込みを入れて……。
三角形のテープを複数貼り付ける。
四角形の窓でも、角が鋭角になっている箇所はこの三角形テープの複数貼りで対応可能だ。
後部座席にも三角形の窓が。
でもかなり小さいね。
四角く切り出したテープに2本切れ込みを入れることで、更に細かい三角形のテープを作ることができる。
これで対応してみよう。
極小三角を貼り付けてこんな感じに。
これで問題ないですな。
マスキングゾルを併用してみる
前部上部は鋭角と直角の混ざった複雑な形状をしている。
ここは極小の四角・三角のテープを複数貼り付けて対処する。
テープをたくさん貼り付けたから、なんかテープ同士の隙間・段差ができそうな。
そこで登場するのがマスキングゾル。
ゴム状の液体で、塗るタイプのマスキング用品だ。
いくつかあるけど、今回はこのMr.マスキングゾル改を使用する。
テープの貼り合わせ部分にゾルを塗る。
今回の製品はフタにハケがついているけど……
細かい部分を塗るには大きすぎたので、爪楊枝を使ってゾルを塗っている。
ちなみにこのゾル、筆に絡まるので通常の塗装用筆はあまり使わないほうがよさそうですな。
ゾルだけでマスキングできないかな?
筆者は以前ゾルだけで風防マスキングをしていたみたいだけど……
どうも塗り分け境界部分がガタガタになりやすいので、今はテープをメインにしているのだとか。
ただ極端に細かい箇所や、曲面部分ではゾルのみでマスキングすることが多いですね。
画像は以前作った九七司偵のものです。
開口部のマスキング
このキットは風防後部が開放状態になっています。
ここもマスキングしてしまいましょう。
とりあえず開口部周りにテープを使って土手を作る。
土手内部の開いたところにはティッシュやキムワイプなどを切ったものを詰めておく。
無理に押し込もうとすると部品が外れたりするので注意だ。
念のため、最後に上からテープでフタをしておく。
とりあえずこれでいいだろう。
内部に吹き込まないといいんだけど。
詳しくは後述するけど、実のところ今回の軍偵察機も内部に吹き込みがあった。
後部から吹き込んだのか、それとも別の箇所から吹き込んだかは不明だが。
偵察窓部分は最初のもの同様、四角いテープを複数使いマスキング。
ただこの部分は内側から接着されている。
あんまり押すと部品が内部に脱落するから注意だ。
そぉーと、そぉーと作業してね。
マスキング完了!
そんなこんなでマスキングが完了したものがこちら。
筆者のいつも作る飛行機に。
塗装など、その後の動向
ついでなのでそのまま塗装などを済ませて完成させてしまう。
今回の機体は主翼前面の識別帯付きだが、デカールは付属しない。
黄橙色で塗ってマスキングをしておこう。
下地などの塗装に関しては直前に作った九九式襲撃機のものを参考に……。
下面の明灰白色1を塗った後、上面の塗装に備えてマスキング。
今回の機体は主脚のスパッツも塗り分ける。
合わせてマスキングをしておこう。
下面にもかからないようマスキングを。
主脚は塗装後の接着がよかったかも。
キットの指定では上面はブルーとネービーブルーの混色。
筆者としては、あんまり濃い色だと米海軍機みたいだと判断。
今回はMr.カラーのフタロシアニンブルーを使っている。
程よく紺色っぽく、鮮やかでいい感じ。
ビンのラベルを見た感じ、自衛隊のブルーインパルス機向けの色のようですな。
マスキングを剥がし、その他の部品を塗り分けるとこんな感じに。
プロペラはスピナーが白、ブレードがシルバー。
とりあえず白で塗っておく。
崩れるデカール対処法
続いてマーキング。
デカールをよく見るとすでに細かいヒビが入っており、水につけただけで崩れそうだった。
なのでつや消しクリアーを吹き付けて繋ぎ止めることに。
……でも崩れたんだけど。
どうもつや消しクリアーの吹きつけが足りなかったようですな。
残ったデカールは念入りに、気持ち厚めに吹き付けなおしましょう。
今度はエアブラシを使って念入りに吹きつけたものを貼り付け。
問題なく貼り付けられた。
崩れた下面の日の丸は手持ちの余剰品を使っている。
いい感じ。
多少黄ばみが気になるけど……。
デカール干しも何度か試したのですが、これが限界でしたな。
極端に古いデカールにはさすがに難しいようです。
つや消しクリアーによるデカール繋ぎ止めの注意点は、つや消しを吹き付けたところ全体が透明のフィルム状になること。
なのでなるべくマークの形状ギリギリで切り出す必要が生じる。
画像は昨年に作ったHe111のものだね。
風防の曇りをとれ!
その後はウェザリング、つや消しクリアーを吹きつけ完成目前に。
風防などのマスキングを剥がしましょう。
なんか曇ったりしているね。
正面の風防はマスキング漏れもしているし。
まずはマスキング漏れで窓部分にかかっている塗料の処理。
筆者は爪楊枝で軽く擦ってとってしまっている。
あんまり強く擦ると傷になるので注意だ。
あまり楊枝を立てず、窓枠部分に沿って軽く擦ってみよう。
曇り部分はいったん風防を外してしまいます。
風防と胴体の隙間にデザインナイフを入れて接着部分を外し、その後軽く左右に揺らすように手で動かしてゆっくり剥がします。
ここで風防を破壊すると台無しなので慎重に……。
風防内部の曇りは擦れば簡単に取れます。
筆なり綿棒なりで擦ってしまいましょう。
塗料の吹き込み……のわりには擦ると簡単に剥がれるよね。
再接着。
場合によっては外した際に接着箇所付近の塗装が剥がれることがある。
シルバー系の塗料で塗装剥がれ風にごまかしてしまうのもアリだ。
何はともあれこれで完成です。
以下、ギャラリーとなります。
ハセガワ 九九式軍偵察機 完成!
青い塗装が新鮮でいい感じ。
説明書では
「例外中の例外」
と書かれていますな。
前述通り、詳しいキット内容は直前の九九式襲撃機と同様だ。
これに関する筆者の感想もそちらを参考にしてほしい。
作業まとめ
というわけで筆者が長年放置していた九九式軍偵が無事完成しましたが……
今回のメインは風防のマスキングでしたな。
- カッターマットにマスキングテープを貼り付け
- デザインナイフで格子状に切り刻み、細かい四角のテープを作る
- 四角い窓はそれを貼り付ける
- 三角の窓は四角いテープを斜めに切り、三角のテープを作りそれを貼る
- テープを重ねた場所や曲線・曲面箇所はマスキングゾルを使う
というのが筆者の主なマスキング方法。
どうしても手間のかかる作業というか。
なので
- 「初心者向けの飛行機模型は?」
- 「作りやすい飛行機模型は?」
というよく見かける問いに対して筆者がまず考えることが
「風防のマスキングが簡単な機体」
という要素だね。
その結果風防のマスキングが簡単なメッサーシュミットBf109が大量生産されることに。
筆者はその問いに対する答えとして、よくタミヤのBf109E-3を挙げますな。
逆に風防が機体あちこちにあって窓枠も多い中型以上の爆撃機は結構手間がかかったりする。
筆者はHe111とか好きなんだけど、その点がネックでどうしても放置気味だ。
というかもっと簡単な方法ないの?
筆者もどうにか楽をしようと色々考えたんだけど……
「立ち止まって考えている時間でマスキングを進めれば完成品が増える」
という結論に達してね。
筆者お得意の独裁者的発想ですな。
「議論している時間で行動したほうが早い」
的な。
そんな感じ。
長くなってしまったので今回はここまで。
次回もまた放置品を使って、ちょっとした作業方紹介になる予定だ。
次回も、お楽しみに~。