模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回は筆者が長年作りかけで放置していた、ツィンメリットコーティング済みのポルシェティーガーが完成しました。
今回は……。
筆者が
「ドッティングをやりたい」
とかぬかしている。
なので前回のポルシェティーガー同様、組みかけ品を使ってそれを紹介しよう。
ドッティングって筆者はそんなにやっていたっけ。
今までに2回ぐらいしかやっていませんな。
しかも1回は失敗しています。
思い出した。
砂漠系イメージなのに緑色っぽくなったやつだ。
今回はその辺りにも注意して進めてみよう。
ドッティングってなんぞい?
まずドッティングについて。
画像のように塗料を点々と置いて、これを溶剤で薄く引き伸ばす。
退色表現のほか、薄まった各塗料が微妙な色の変化をつけてくれるというやつだ。
おそらく英語で点を意味するドット(dot)からネーミングは来ているのだろう。
画像は昨年作ったアカデミーのT-34/85ですな。
単色塗装のものでも、色の変化をつけられるという。
今回の犠牲車紹介
それでは今回実験に使うものを紹介。
今回はこのサイバーホビー・オレンジボックスシリーズより
III号戦車E/F型を使用する。
例によってまた組みかけ品。
筆者はドッティング解説よりも、本当は組みかけ在庫品を処理したいだけなんじゃないの?
ですな。
オレンジボックスシリーズは主に2010年前後によく見かけた、サイバーホビーの1シリーズ。
一部例外はあるけど、基本的には同ブランドの元であるドラゴン社の製品に、アップデート用のパーツと既存の兵士フィギュアを同梱した廉価版キットだ。
III号戦車E/F型はドラゴン社がスマートキット以前に発売していた90年代初版のもの。
付属の兵士は元々別売りされていた、冬季装備のドイツ軍歩兵4体だ。
今回は兵士を作らないので、あらかじめ外してあるけどね。
こちらは別の機会に組もう。
この頃はなんかドラゴン(サイバーホビー)に勢いがあったよね。
最近オレンジボックスシリーズはすっかり新作が出なくなったけど……。
III号戦車E/F型はIII号戦車の最初の量産型とも言える存在ですな。
A~D型で試行錯誤していた足周りにトーションバーサスペンションを採用。
満足のいく性能となり、以降の標準となるという。
E型とF型はエンジンが変わったぐらいで、外見的な変化はあまりない。
キットでは車体前面のブレーキ冷却口の有無でこの2種を選択するようになっている。
塗装はE型F型それぞれ2種類ずつ収録されており、すべてジャーマングレーの単色塗装だ。
今回は一番下、E型の第11装甲師団第15装甲連隊所属車にする。
1941年のユーゴスラビアだから、おそらくバルカン戦線だろう。
当初筆者はもうひとつのE型、ホーエンシュタウフェン装甲擲弾兵師団(SS第9師団)所属車にする予定だったみたいです。
ただこの師団は1943年創立らしく
「1940年時点では存在しなかったのでは?」
と判断。
急遽変更したのだとか。
簡易製作記
とりあえずドッティングができる状態まで進めよう。
まずはこの残骸を組み立てる。
このキットはIII号戦車の各形式を再現するため、穴埋めや切り取りの指示が非常に多い。
特にフェンダーの滑り止め上にある不必要な凸モールド削り取り指示が厄介だ。
一度削ってフェンダーの凸凹再生は難しいので、ここは適当な荷物を置いて隠してしまう。
画像ではエポパテを練って、適当な布袋のようなものを作って貼り付けている。
工具でも巻いてポンと置いているだけというか。
ほかにも穴埋めや削り箇所がある。
- ティッシュで作ったカバーを貼り付ける
- 手持ちのアクセサリーパーツの箱を乗せる
などしてごまかしてしまおう。
車体左後部のフェンダーに乗っている箱は、タミヤのドイツ軍初期型ジェリカンセット付属のものだ。
これで組み立て完了ですな。
砲塔後部のフックなど、一部取り付け忘れた部品がありますが……
後で追加で急遽取り付けたりしています。
その後は
- タミヤラッカーのジャーマングレイなどで塗装
- マーキングと装備の塗り分け
- ブラウン系塗料によるスミ入れ
といった流れで進めている。
この状態で本題であるドッティングに入ってみよう。
なんか調べてみると、ドッティングに入る段階も人によって異なるみたいな。
全体に塗料を薄く伸ばすということなので……
筆者はウォッシング系ウェザリングと同じ扱いで、ウェザリングの序盤に持ってくるようですな。
本題 タミヤエナメルでドッティングを試してみよう
それでは本題のドッティング。
今回はこのタミヤエナメル4色
- ライトグリーン
- フラットホワイト
- スカイブルー
- パープル
を使用してみる。
詳しくは後述するけど、フラットホワイトではなく普通のホワイト(つや有り)のほうがよかったかもしれないけどね。
戦車のウェザリングっていうと茶色とかのイメージが強いけど、それとはかけ離れた色ばかり。
ドッティングはウェザリングカラーなどの油彩を使う方法もあるみたいですが……
今回はエナメル塗料を使用しましょう。
筆で塗料を点々と乗せていく。
今回は青みを強調したいので、スカイブルーをメインにして乗せていく。
ライトグリーンは砂や埃の代わりにしたいので、基本的に平面や下部を中心に少しだけ置いていく。
この状態だと遊具感が。
放棄された戦車が戦後落書きされたみたいな。
その後はタミヤエナメルの溶剤を筆に含ませ、置いた塗料を溶かして薄く広げていく。
うっすらと各色が残る感じに……。
エンジンデッキ周りがなんとなく青や緑っぽくなっているはずだけど……
画像だとわかりにくいかな?
筆者が強くふき取りすぎている可能性もありますな。
エナメル塗料は油彩系よりも定着力が高い反面、塗り分け部分との境界線もはっきりしやすいので、筆者はやや強めにふき取っているとか。
先ほどつや有りのほうがよかったかもしれないといったフラットホワイト。
この色はふき取り時に特に跡が残りやすかった。
これはつや消し成分によるざらつきが、キット表面に引っかかったからと推測している。
筆者の手持ちには現在フラットホワイトしかありませんな……。
ちなみにタミヤエナメルは番号が
- X-○○→つやあり
- XF-○○→つや消し
となっています。
基本的にはつや消し塗料のほうが多数派のようですが。
黒や赤など基本色はつや有り、つや消し両方揃っているようだ。
つや消しのみのものはミリタリー系向けな渋い色が多い。
ドッティングが完了するとこんな感じに。
この角度だと少しわかりにくいような。
スミ入れのブラウンに負けている気がする。
比較的面の広いエンジンデッキ周りがまだわかりやすいかと。
微妙に青や緑っぽくなっているのがおわかりいただけるでしょうか。
それよりもフラットホワイトの跡が目立つけど。
埃汚れと言われれば、それはそうとも言えるけどね。
そのまま仕上げに
ドッティングはこれで終了。
そのまま他のウェザリングも施し、完成させてしまおう。
ドッティングを生かしたいので、今回エンジンデッキの油汚れはなしですな。
以下、ギャラリーとなります。
サイバーホビー III号戦車E/F型 完成!
初期の型だけあって、ちょっとゴチャついているんだよね。
平面が少ないから、ドッティング効果も薄いのかな?
今まで作った派生車達と。
- B型(前列左 ミニアート製)
- E/F型(前列中 ドラゴン・サイバーホビー製)
- J型(前列右 ドラゴン・プラッツ製)
- L型(後列左 タミヤ製)
- M型(後列中 ドラゴン・サイバーホビー製)
- N型(後列右 タミヤ製)
ですな。
B型と比較。
足周りの変化がよくわかりますな。
B型って各部の形がE型とは似ているようで似ていないんだよね。
金型流用で不便だからか、発売しているメーカーも少ないという。
同じ塗装色のL型と並べてみる。
ウォッシングとドッティングの技法はもちろん、ウェザリングで使用した塗料が違うのもあって、色味が違ってみえるのがおわかりいただけるだろうか。
確かL型はガイアノーツの埃色だよね。
こっちはこっちで単純に白っぽくなるというか。
作業まとめ
本題のドッティングに戻ろう。
基本的な手順は
- 複数色の塗料を点々と置く
- 溶剤で薄く伸ばす
といった感じ。
今回は青系に振ってみたかったので、スカイブルーを多めに置いてみた。
この辺りはお好みで。
冒頭の過去記事に出てきたSd.Kfz.232は黄色と青と緑がメインだったから、緑っぽくなっちゃったんだよね。
筆者としてはイメージと違ったから、後でウォッシングして修正しちゃったけど。
今回はその点を踏まえて、黄色は使わず紫を代わりに使ったようですな。
モールド周りへのドッティングは少し注意だ。
鮮やかな色の塊がそのままモールドに残ったりすると、ちょっと不自然に見えたり。
細かいモールド周りや足周りよりも、天板など広い面の上なんかにやると効果が高そうですな。
後は基本塗装が単色なものとか。
単色の単調さを、上塗りの複数色で補う形に。
これが何か参考になれば幸いだ。
今回はここまで。
例によって筆者の作業に記事が追いついてしまっているので、次回は未定だ。
あるかわからないけど、次回もお楽しみに~。