こんなところを見ている方がいますかわかりませんが一応ご挨拶を。
どうも、本ブログの案内人であるアドルフと申すものです。
同じく、こんなところの案内人であるヴァルダ。
さて、本ブログも二年目に突入しました。
二年目はどのように進めていくか……。
方針を固めるのもいいけど、とりあえず記事の更新だ。
ですな。
今回は久しぶりに筆者の行うテクニック系の記事にしよう。
果たしてテクニックと謳っていいのか……。
鋳造表現を施してみよう
今回は模型に鋳造表現を施す方法を紹介しよう。
鋳造表現、あれですね。
筆者が今まで作った戦車キットの一部にも行われている、このザラザラした表面処理のことですね。
まず鋳造というものの説明が必要だね。
鋳造(ちゅうぞう)とは、主に金属を熱して溶かし、それを砂などで作った型に流し込み、冷やして形にする加工法のことなんだ。
先ほど戦車模型を例に挙げましたが、一部の戦車の車体や砲塔は、この鋳造で作られていますな。
一体成型で複雑な形のものを作れるため、装甲板を溶接したり、鋲打ちするよりも組み立ての手間が省けるんだ。
そんな鋳造装甲だけど、砂などで型を作ったところに流し込むから、表面が梨地状にザラザラした感じになる。
プラモデルでこれらの荒れた表面を再現するのが、鋳造表現というやつなんだ。
方法その一、ラッカーパテを使用した鋳造表現
その鋳造表現で最も古典的な方法がこちら。
ラッカーパテと溶剤を使用したもの。
用意するのは
・タミヤのタミヤパテ(ラッカーパテ)
・クレオスのMr.カラー薄め液
ですね。
後者は他社のラッカー系溶剤でもいいです。
それと筆を。
綺麗に塗るわけではないので使い古して毛先が広がった二線級の筆で構いません。
今回はタミヤの平筆(画像上段の黒い柄のもの)を使用。
毛先を少しカットして普通の筆よりも少し短くしておくといいです。
画像下段のは比較用に用意したクレオスの平筆(紫の柄のもの)
カットしすぎて毛先が短すぎるのは使いにくいので注意。
毛先が程よく広がらず、ざらざらさせにくい。
まずはラッカーパテを塗料皿に出します。
本来このパテは小さい傷を埋める用のものです。
溶剤成分の少ないサーフェイサーといったところでしょうか。
ただサーフェイサーやラッカー塗料同様、乾燥した際に揮発して縮むため、大きい傷は埋めにくいとか。
筆者は現在傷埋めでは専らウェーブの黒い瞬間接着剤に頼っているから、コイツの本来の出番はあまりないねぇ。
皿に出したパテを溶剤で薄めます。
やや濃い目でドロドロした感じを狙って・・・・・・。
いわゆる、「溶きパテ」というやつだ。
そうしたら鋳造表現を施したい対象に塗ります。
今回はこのプラ板に試してみましょう。
溶きパテが生乾きの間に、筆で叩くようにして表面を荒らしていきます。
余り細かいことは気にせず・・・・・・。
ひたすら叩きます。
・・・・・・どのくらい叩けばいいんですかね?
昼のワイドショーが政権を叩くのと同じくらい。
たかが一工程でそんなにだらだら時間をかけたくないです。
専門的なことはともかく、最終的にこんな感じになります。
写真でどれくらい伝わるか不安ですが……。
比較のためもう一枚プラ板を用意。
左のは素のプラ板にサフを吹いたもの。
右のは今溶きパテで鋳造表現を行ったもの。
結構凹凸が激しい仕上がりになる。
気になるようだったら少し紙やすりで均すといいかもね。
方法その二、プラモデル用接着剤を使ったもの
もう一つの方法も紹介しておきましょう。
用意するのはプラモデル用の接着剤。
そしてその辺に転がっていた古歯ブラシです。
プラモ用接着剤はいわゆるセメント系。
プラを溶かして接着するものだ。
今回は筆者が最も愛用しているタミヤセメントの速乾の流し込み式を。
対象物の表面に接着剤を塗ります。
流し込みの速乾はすぐ揮発してしまうので気持ち多めに塗って・・・・・・。
実際は比較的乾燥の遅いトロトロタイプの接着剤のほうがやりやすい感じがするね。
先ほどの溶きパテの場合と同様、生乾きの間に歯ブラシで叩いて荒らします。
これで完了です。
・・・・・・溶きパテ以上に写真でわかりにくいですね。
サフを吹いて先ほどのものと比較。
左が溶きパテのもの。
右が今接着剤で作業をしたもの。
接着剤のほうがやや大人しい仕上がりになる感じですね。
鋳造でない装甲板でも、荒れた表現に使えそうです。
基本的に筆者は溶きパテを使った技法をメインで使っている。
接着剤を使った方法は
・小面積
・既に施された鋳造表現に合わせる
この二点が揃ったときに使っている感じかな。
最近だとタミヤのソミュアS35のキューポラに使っている。
写真ではクレオスのMr.セメントSPを使っていますな。
こちらもタミヤのものと同様、速乾の流し込みとなっています。
アホな筆者はあまり違いを感じられなかったようだ。
どちらを使うかは好みで決めてしまっても問題なさそう。
実際にキットに施してみる
ただのプラ板に施してもいまいち実感が湧かないので、ここでキットに実践してみましょう。
今回生贄になるのは筆者が作りかけで放置していたこのガンプラ。
HGUC 高機動型ザクの黒い三連星専用機だ。
さっきまで付いていたアンテナがどこかに行っているね。
あんなの飾りですよ。偉い人にはそれがわからんのです。
というか、戦車ではないのですか?
戦車キットは最初から鋳造表現が施されているものが多いからね。
作業前後の違いがわかりやすい、表面が滑らかなガンプラをチョイスした。
今回はHGUCのキットだけど、この高機動型ザクを始めとした旧キットの1/144MSVシリーズははじめから鋳造表現が施されたものが多数あったんだ。
当時の風潮だったのでしょうか。
丁度ガンプラがブームだった80年代はそれらとは対照的にAFVプラモデルが勢いを失っていた、「AFV冬の時代」と言われていたようだね。
そのときに流れてきたAFVモデラー達が本来戦車模型に施すウェザリングなどの技法をガンプラに応用していたようだ。
最初から梨地だったガンプラも、おそらくAFVの影響ではないか。
……と90年代生まれの筆者は推測している。
とりあえず、ザクに鋳造表現を施してみよう。
戦車なんかでも丸みを帯びた一体成型の部品によく用いられている。
ので、今回はこの肩アーマーを例に施してみる。
そして塗る。
スパイクは施さないので避けながら塗る。
本当はマスキングしてあげるのがいいけど、ものぐさな筆者はそんなことはしない。
あとは叩くだけなんだけど……
なんか汚い仕上がりになったね。
アホな筆者がもたついていたため、溶きパテが揮発して濃くなり、厚塗りしすぎていたようです。
とりあえず溶剤でふき取ってやり直します。
・・・・・・手作り溶きパテではなく、ここは今まで筆者が使ってきたあの材料を使うときが来たようだね。
筆者の真打登場、500番瓶サフを使った方法
溶きパテをいちいち作るのが面倒な人には筆者が何時も愛用しているこちらをおススメしよう。
クレオスの500番サフですね。
本来はエアブラシなどで吹き付けて傷を埋めたりするサーフェイサーなんだけど、こいつを筆者は鋳造表現の溶きパテとして利用している。
元がサフなので、そのままだとやや薄いけど、筆者は程よく揮発させて使っている。
なによりいちいちラッカーパテを溶かなくていいのが利点。
なんか泡立っていますな。
細かいことは気にしない。
前述したとおり、やや薄い状態なので揮発するまで少し待つ。
叩いて最終的にはこんな感じに。
薄く塗ったものを叩いたから成型色が見えているね。
他のパーツとの比較のため、腕のパーツ全体にサフを拭いて色を合わせ、比較。
荒れた装甲板の様子がお分かりいただけるでしょうか?
スケールを考えると、HGのガンプラには1/35のAFVよりも細かい梨地にしたほうがそれらしくなりそうだね。
鋳造表現を行った結果・・・・・・
・・・・・・あれ、完成見本はないのですか?
アホな筆者が思いつきでやったからね。
本体のほうは仕上がっていないんだ。
放置期間が長くて、武器なども紛失しているっぽいし。
ここは代わりに鋳造表現を施した過去作品を……。
これはガンダム00のHGティエレン地上型ですね。
筆者がここの開設以前に作ったものがたまたま近くに転がっていてね。
ソ連戦車を連想させる見た目と色をしていたのでそれらしい仕上がりを目指したようだ。
本キットでは頭部と腿の部分に500番サフを利用した鋳造表現を行っている。
表面がザラザラしている様子がお分かりいただけるだろうか。
まとめ
鋳造表現を行うには今回二つの技法を紹介しました。
第一に「溶きパテ」を筆で叩きつける方法。
第二に「接着剤」を歯ブラシで叩きつける方法。
そして筆者の主力であり、第一技法の亜種である「500番瓶サフ」を筆で叩きつける技法。
作例のように、この技法はもともとAFVキットでよく使われていたものだけど、ガンプラ等に使っても見栄えのするものだんだ。
前述したとおり、丸みを帯びた一体成型の箇所に施してあげるとそれらしくなる。
溶きパテにしろ、接着剤にしろ、薄いものはあっさりとした仕上がりになり、濃いものは凹凸が激しい仕上がりになります。
ドライブラシなどの技法と組み合わせると、より強調された効果が期待できます。
そのドライブラシの解説もそのうち必要だね。
とりあえず今回はここまで。
全てのモデラーに栄光を。