模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回は筆者が長年積んでいたサイバーホビーのH2ティーガーが完成しました。
今回は……。
また長年積んでいた戦車が発掘された。
今回はそれにしよう。
まだあるんだ。
その辺を掘り返せばいくらでもでてきます。
今回のお題 タコム マウスV2
今回作るのはこちら。
タコムより、マウスV2だ。
これまた大物を。
ここの開設以前に購入したものですな。
長年放置していたからか箱が歪みかかっています。
マウスとは?
この戦車は第二次世界大戦後期にドイツ軍が開発した超重戦車だ。
総重量は188tに達し、実際に完成した戦車の中では最大のものとなっている。
ティーガーIの56tでも十分重いのに……。
1941年から独ソ戦が勃発。
そこでドイツ軍はソ連軍の強力な戦車、T-34やKVシリーズに遭遇した。
この辺りに関しては今まで散々説明したね。
T-34ショックだね。
それでドイツ軍は新型のティーガーIやパンターの開発を急ぎ、既存のIV号戦車やIII号突撃砲の対戦車能力向上に奔走するという。
それらを戦闘に投入するわけだけど、総統閣下がこう思ったんだ。
「ソ連軍も強化されたドイツ軍戦車に対抗して、更に強力な新型戦車を開発・投入してくるに違いない」
と。
実際は寧ろ逆で、独ソ戦が始まってからソ連軍は開発中だったKV-5など超重戦車の開発を中止。
T-34など既存戦車の生産・改良に全振りしていますな。
後に登場したJS重戦車シリーズも、事実上KV-1の発展型という。
当初総統閣下は70t~90級の重戦車を構想したが、1942年の春ごろにこれを超える100t以上の戦車を構想。
ポルシェ社とクルップ社に開発を命じた。
この70t~90t級の戦車はVII号戦車レーヴェと呼ばれるものですな。
こちらは試作車すら完成せず、1942年の7月ごろに開発中止になったようです。
最終的にポルシェ社の提出したものが一部手直しされて採用、開発が始まる。
このとき同社が提出したものはタイプ205と呼ばれるもの。
- 動力はポルシェティーガー同様のハイブリット式(ディーゼルエンジンで発電機を回し、その電気でモーターを動かし稼動する。実際は諸事情でディーゼルエンジンが用意できず、代わりにガソリンエンジンを使うことになる)
- 同じくポルシェティーガーにも使われた縦置きトーションバーのサスペンション
- 砲塔は車体後部に配置
といったことが特徴だ。
以前ここでもそれのキットを作ったね。
今回のマウスと同じタコム製品だったね。
発売はあっちのほうが先だけど。
マウス計画案はいくつか変更が加えられているようですな。
- 初期段階ではマムート(マンモス)の名前が与えられていた。情報秘匿のためか後にモイスヒェン(子ネズミ)、最終的にマウス(ネズミ)となる
- 砲塔の位置は最終的には後部配置になったが、前部配置になったものも検討されていた。これはタコムからVK.168.01(P)として発売されている
- 主砲については15cm砲や10.5cm砲も考えられたが、最終的に12.8cm砲と副砲として7.5cm砲の同軸装備に
などなど。
マムートやVK.168.01(P)も以前ここで作ったやつだね。
開発や量産計画は進んでいたものの、この車輌に対して機甲部隊の総監であるグデーリアン将軍は
「重量過大」「近接戦で不利」
などと低い評価を与えていた。
更に1943年夏のツィタデレ作戦が失敗し戦況が悪化すると、軍需大臣のシュペーアからも
「資材の浪費」
として待ったがかけられる。
結果同年中に開発に関わっていたポルシェ社やクルップ社に量産中止の通達が届く。
ただその時点で出来上がっていた試作品のパーツは組み立てが続けられ、同年12月に砲塔のない試作1号車の走行試験が行われた。
現場からすると
「マウス1輌分作る資材で既存の戦車数輌作ったほうが戦力になる」
ってことかな?
今回作るのはV2、つまり試作2号車。
優先順位が落とされながらも組み立てが続けられ、1944年6月に主砲を装備した砲塔を搭載した状態で完成。
ダミーの砲塔を搭載した1号車と違い、こちらは戦闘が可能なものだった。
だたクンマースドルフ試験場での試験の結果、機動性や燃費などが予想以上に悪いものだったようだけどね。
エンジンも故障してしまっている。
これらの報告を受けて総統官邸からも正式にマウスの開発中止の命令が出る。
あらら。
1945年に入って戦況は更に悪化するんだけど、そこでクンマースドルフ試験場では戦力になりそうなものは実践投入のため再整備が行われる。
保管されていたマウスV2もエンジンを交換するなど再整備が施されて、同年4月に出撃。
しかしエンジン不調と燃料不足により行動不能になり、道中で爆破処分されてしまう。
戦う前から……。
最終的に侵攻してきたソ連軍が2号車の残骸を鹵獲。
その後試験場に放置されていた試作1号車の車体と、爆破された残骸から回収した2号車の砲塔を組み合わせたマウスが作られる。
同軍によって様々な試験が行われ、その後はロシアのクビンカ戦車博物館に収蔵されて現在に至る。
試作1号車と2号車は転輪のディティールや吸気口周りが少し異なるようですな。
なのでオリジナルのV2と現在クビンカに展示してある再生品も少し異なるものなのだとか。
史上最大の戦車となった超重戦車マウス。
唯一完全な状態で完成していた試作2号車を、タコムのキットで蘇らせてみよう。
箱の中身を確認しよう
それでは箱を開ける。
中身はこんな感じ。
タコム製品ってビニール類が粘着式なんだよね。
だから開けやすいというか。
パーツその1。
主に砲塔や車体のパーツ。
内部再現とかはないので、すっきりした内容だ。
車内は完全な空洞じゃなくて、仕切りパーツがあるね。
これで車体を箱組みしても重さで歪んだりはしなさそう。
パーツその2。
主に転輪やサスペンションのパーツ類。
同じものが複数付属する。
あらら。
こっちは組むのに苦労しそうな。
ただ構造上、ほとんどが隠れて見えない状態になります。
外から見える転輪などだけ処理して、後は単に切り出すだけで良さそうですな。
パーツその3。
履帯パーツを収めたランナーが2種類×3枚付属する。
こっちも大変そうな感じだね。
履帯は3種類の部品を組み合わせて1ユニットとなるようですな。
接着固定式ではなく、可動履帯となっています。
以上のことから、このキットは足周りに部品が集中していることがわかる。
付属のデカールとエッチングパーツ。
金属部品はこれだけですな。
見た感じエンジングリルのみのようです。
デカールは国籍マークのほか、分割された鉤十字や鹵獲仕様にするためのソ連軍マーク(赤い星、鎌とハンマー)も付属する。
\デェェェェン!/
紙媒体は説明書のみ。
他のタコム製品同様、冊子になっていますな。
収録された塗装図は3種類。
- 1945年 ベルリン(ボックスアートと同じイエローとグリーンの蛸柄迷彩)
- 1945年 クンマースドルフ試験場(3色迷彩)
- 1946年 東プロイセン(ダークイエローの車体にオキサイドレッドの砲塔)
となっている。
今回は実物と同じ3色迷彩を施してみる予定だ。
これに捉われず、自由に塗ったりマーキングしてみてもよさそう。
次回、製作開始!
今回はここまで。
次回から本格的に作業を始めよう。
見た感じ足周りが難所かな?
そこさえ越えれば後は何とかなりそうな。
エッチングパーツも多いですが、ほとんどは大判の金網です。
これは過去のマウス計画車輌達で似たようなものをいくつも作ったので、そこまで難しくないかと。
筆者の手持ちのタコム製品では比較的早くに購入したものの、結局後発キットに先を越されてしまった。
完成させて並べたいところだ。
続きは次回!
この記事で紹介しているキット