前回はタミヤウォーバードコレクションの零戦二一型が完成しましたな。
今回は……。
パーティングラインの処理方法だね。
比較的初歩的な内容のものだけど、筆者自身は修得するのにちょっと時間がかかった。
その中でも、デザインナイフを使ったカンナがけを用いたものを紹介しよう。
パーティングラインってなんZoy?
まずパーティングラインについて軽く解説をしておこう。
プラモデルを作っている際に、このように無造作な線状の段差が入っていることは見たことがないだろうか。
画像はガンプラHGUCのグフ(リバイブ版)ですな。
パーツを横切るように線が存在しますが、これがパーティングラインです。
プラモデルの部品は基本的に金型を組み合わせたものにプラ材料を流し込みパーツを成型する。
その際に組み合わせた金型の同士の隙間で段差が発生し、成型されたパーツにこのような線状の跡が残る。
これがパーティングラインの出来る原因だ。
近年なんかだとなるべく目立たないパーツの端にあることもあるけど、基本的には単純にパーツの真ん中に存在する。
特に戦車模型では転輪設置部分のど真ん中に存在するパーティングラインが、モデラー達を悩ませる存在となっている。
画像はタミヤのティーガーI初期型。
この戦車は転輪の数が多いので、より処理には時間がかかりますな。
ちなみに極端に古いキットなんかだと金型が劣化して精度が落ちており、このようにプラ材が広がった金型の隙間から大きくはみ出てしまっていることもある。
これは俗にバリという。
画像はマイクロエース(旧アリイ)の九六式陸上攻撃機一一型のもの。
バリ……
たい焼きなんかだとパリパリしていて美味しいところだよね。
模型の場合は手間が増えるだけですな。
こちらはまずニッパーやカッター類で大まかに切り落とす必要がありますね。
見た目はすごいことになっていますが、単純に切り落とすだけなのでそこまで難しくはありません。
今回の犠牲者
今回カンナがけの実践で使うのは……
筆者の仮組み放置品から掘り出してきたこちら。
ガンプラのHGオリジンMSDシリーズより、プロトタイプグフ(戦術実証機)だ。
またずいぶん前から放置されていそうなものを……。
というか中途半端に整形されていたり合わせ目も接着済みだったり。
筆者が2016年頃に家族旅行に持っていったのは記憶にあるそうです。
ホテルでの隙間時間で製作するつもりでしたが、結局進まなかったという。
となると少なくとも6年ぐらいは放置しているわけだね。
何時になったら完成するのかな。
このキットは腕部分がアタッチメントになっており、各種固定武装を換装することが出来る。
ちょうどその鉤状のアームパーツにパーティングラインが入っているんだ。
今回はそれで処理方法を実践してみよう。
実際に作業をしてみよう
それでは実際に作業をしてみる。
まずはパーツを用意。
中央にパーティングラインが入っているのがわかるだろう?
筆者はこれをどのようにして処理するのかな?
とりあえず使用する道具はデザインナイフ1本のみ。
今回はタミヤから発売されているものを使ってみよう。
刃を寝かせるようにして部品に密着させる。
刃の向きは手とは反対方向。
筆者は右利きなので右手で持ち、刃は左側に向くように寝かせる。
左利きの人は反対に左手で持ち、刃は右側に向くように寝かせる。
別の角度から見るとこんな感じ。
んでカンナがけなんだけど…… 寝かした状態の刃を、刃とは反対方向に向けて動かす。
筆者の場合は右利きで刃を左側に向けているから、右側に向かって刃を引くように動かすんだ。
上の画像で描かれた、青い→の方向に向かって動かす。
文字で説明するのは難しいけど、実際に削れる。
刃を引くときに刃をパーツに密着させていることが重要だ。
反対に刃を押し込むことはしない。
- 刃を密着した状態で右側に引くように動かす
- 刃を浮かせて左側に戻す
- 再び刃を密着させた状態で右側に引くように動かす
……といったサイクルを繰り返します。 左利きの人は当然動作は逆向きになります。
……工具の動かし方とか文字だけだとわかりづらいね。
なんか動画とかないの?
どうも撮影した動画の容量が大きすぎたようだ。
なので再生時間を短縮したものを載せておく。
10秒ちょいの動画でどのくらい伝わるかわからないけど……
とにかく刃はほぼ一方通行ということだね。
ノコギリが引いて切るように、デザインナイフのカンナがけも刃を引いて削る感じです。
何度か繰り返すとこんな感じに削れて平坦になる。
多少傷が残るので、それはゲート処理時同様ヤスリ類で削って処理しよう。
同じ部品が複数個あるので比較。
左が作業前。
右が作業後ですな。
今回はパーティングラインに試してみたけど、合わせ目の接着部分にも応用出来る。
筆者は特にガンプラの武器類に使うことが多いかな。
複雑な構造の武器でも、難なく整形できる。
この技法は比較的幅の狭い部品相手に有効だ。
幅の広い部品相手だとデザインナイフの切っ先で深い傷が出来たりしやすい。
幅広パーツの場合は面出しついでにヤスリで削ってしまうほうがいいように感じるね。
作業まとめ
というわけで今回はパーティングラインを処理するためのカンナがけを解説してみた。
アホな筆者の適当な写真でどのくらい伝わったかは不明だけど……。
- 刃を寝かせた状態で部品に密着させる
- 密着した状態の刃を引くように動かす
- 刃を浮かせて元の場所に戻す
- 刃を引く→浮かせて戻すを繰り返す
幅の狭い部品のほうがやりやすいってやつだね。
ガンプラの武器に戦車の転輪……
飛行機だと主翼や尾翼なんかがいいかな?
プラモデルでの初歩的な道具であるデザインナイフ1本ででき、それ以外に特別な道具は必要ない。
なかなか便利なテクニックなので、是非ともマスターしたいところ。
カンナがけはパーティングラインの整形のほかにも、肉厚の部品を削って薄くするのにも使えますな。
これに関してはまた別の機会で。