模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回は筆者が組みかけで放置していた、イタレリのBf110が完成しました。
今回は……。
航空機続きだったので、ここで戦車を投入する。
この季節に相応しいものを紹介しよう。
なんだろう?
とりあえず冬っぽいものかな?
冬っぽいのは筆者の財布の中身かもしれませんが。
今回のお題 サイバーホビー 1/35 M10偽装パンター
今回作るのはこちら。
サイバーホビーより
M10偽装パンターだ。
同ブランドからは1/72スケールも発売されているみたいだけど、今回は例によって1/35となる。
また珍妙なものを……。
沼にはまるとこうなります。
最初はメジャーなものばかり組んでいるのですが、それに満足できないと段々とマイナーなものに手を出すように……。
M10偽装パンターとは?
原型となったパンターは第二次世界大戦後半に登場した、ドイツ軍中戦車だ。
ここでも何回か組んでいるので、その辺りは省略する。
ソ連のT-34に対抗するため、登場した戦車だよね。
傾斜した装甲なんか、その影響が強く出ているし。
今回作るのはM10偽装パンター。
1944年12月の西部戦線で、ドイツ軍最後の攻勢となったアルデンヌ攻勢(ラインの守り作戦・バルジの戦いとも)が発生するんだけど……
その戦いの最中に「グライフ作戦」が発動される。
連合軍に偽装したドイツ軍を潜入させ、後方撹乱を行うという内容だ。
なんか思い出した。
前に変なIII号突撃砲を作っていたよね。
当初は鹵獲したアメリカ製戦車を使う予定だったみたいだけど、数が揃わなかったみたいで……
ドイツ軍は自軍のパンターG型に軟鉄製の外装や連合軍風の塗装を施し、アメリカ製のM10戦車駆逐車に似せた車輌を用意した。
これが今回作るM10偽装パンターだ。
いくつか説はあるけど、少なくとも5輌は作られた様子。
現代の戦車マニアからすると違いは一目瞭然だけど、当時リアルタイムで戦っている兵士からするとまったく違いがわからないという。
一般兵士からすれば
「日の丸の付いている緑色の飛行機は全部零戦」
と同じ感覚ですからね。
ただこのパンターはかなり凝った偽装だったり。
III号突撃砲を改造したM7偽装車とは異なり、M10パンターは足周りが異なるぐらいで非常に良く似ている。
後にこの車輌を発見・調査した米軍の士官も唸らせる完成度の高さだったという。
んで、効果はあったの?
M10パンターは「ヨーロッパで最も危険な男」の異名を持つ武装親衛隊中佐、オットー・スコルツェニー率いる第150装甲旅団に配置され進撃開始。
しかし行軍中の渋滞に巻き込まれて予定通り先行することができず。
結局、通常の戦闘に投入され撃破されてしまっているようだ。
あらら。
作戦自体は計画通りに行かなかったものの、連合軍側で多少混乱は発生したとか言われていますな。
余談ですが、ガンダムのコミック版MS IGLOOに登場する偽装MS「ゲム・カモフ」
それの「敵軍に偽装する」という発想は、このM10パンターやそれが投入されたグライフ作戦から来ているとか。
特殊任務のために作られたM10偽装パンター。
バルジの戦いから65周年を迎えた2009年に発売した、ドラゴン・サイバーホビーキットで再現してみよう。
箱の中身を確認しよう
それでは箱を開けて中身の確認を。
こんな感じになっている。
相変わらず多いなぁ。
「一度フタを開けたら閉まらなくなる」
とはよく言われていますからね。
パーツその1。
足周りやシャーシ部分など。
シャーシは内部のトーションバー部分まで再現されている。
転輪とかは同じランナーが4枚の構成だね。
ゲートも多いし、ちょっと処理は大変そうな。
俗に言う捨てピンというやつですな。
パーツ本体に押し出しピン跡が付かないように、押し出しピンを兼ねた極小ランナーがパーツに引っ付いているという。
どちらかといえば、オープントップの自走砲とかでありがたく感じるものだ。
パーツその2。
こちらは1枚ずつのランナー。
先ほどのものとこのランナーは、原型であるパンターと共通のパーツだ。
ここでドラゴン・サイバーホビーのパンターは以前、黒騎士物語版のG型を組みましたな。
右上のランナー、なんか不自然な空間があるような。
おそらく砲塔外装が外されているのかと。
今回のM10パンターは軟鉄製の偽装を追加したり、キューポラを撤去するなどして外見が変わっていますからね。
パーツその3。
これらの部品はM10パンター用の新規部品のようだ。
主に追加された偽装パーツや、それを接続するための取り付け穴が設けられた外装となっている。
右下の砲塔外装パーツ、これは一体成型のようだね。
わざわざブリスターに入ってまで厳重に梱包されていましたな。
その他パーツ。
- エッチングパーツ
- デカール
- マジックトラック
となっている。
マジックトラック?
一部のドラゴン社系列のキットで採用されている、切り出し済みの接着組み立て式の履帯ですな。
評判のいいものでしたが、ある時期を境にドラゴン製品はDS(ドラゴンスチレン)トラックなる、ベルト式履帯が多数派になったりも……。
ここで過去に組んだものでは、ドッティングの実験台にしたIII号戦車E型がマジックトラックでしたな。
マジックトラックの評判がいいというより、DSトラックの劣化が早くて使い物にならなくなることが多かった……というパターンのような気が。
あれのせいで履帯を別個用意することになったり。
今回のキットは中古で買ったものだけど、見た感じ初版の2009年ごろ発売のもののようだ。
ドラゴン・サイバーホビーに限ったことじゃないけど、同じものでも発売時期によって付属物が細かく変化することがある。
その点ご了承を。
ブランドが変更したりもありますからね。
今回の場合サイバーホビー名義ですが、再販時にドラゴン名義になったりするものも。
ドラゴンがメーカー名で、サイバーホビーはドラゴンの出しているブランドの1つだっけ。
付属の説明書と塗装図。
説明書は不要パーツの指示も出ているけど……
この表示が間違っていることも多々ある。
キットが完成するまで、不用品指示の部品も捨てないでほしい。
Cランナーがほとんど不用品扱いされているのは気のせいかな?
塗装は2種類収録。
史実通りM10パンターが配置されていた、オットー・スコルツェニー率いる武装親衛隊の第150装甲旅団の所属車輌です。
B4号車とB7号車のどちらかを選びましょう。
この2つの車輌、防盾の形がそれぞれことなるんだけど……
なんとこのキットではそれぞれに対応した、2種類の防盾をセットしている。
しかも曖昧な選択ではなく、どちらを選ぶのかも説明書で明記されていたりするんだ。
ドラゴン・サイバーホビーは部品を細分化して選択式にしているにもかかわらず、塗装に合わせた指示は曖昧なことが多いですからね。
これはうれしいところです。
わざわざマイナーな車輌の微妙な個体差を再現しているのがポイント。
筆者はまだどちらにするか決めていないから、作りながら考える予定だ。
次回、製作開始!
今回はここまで。
次回から作業を開始する。
……というか筆者の作業に記事が追いついてしまっているから、これ以上先に進めないというやつだ。
パーツ自体は多いですが、筆者はドラゴン・サイバーホビーのスマートキットパンターを何個か組んでいますな。
新規の偽装パーツが合うかどうか……がポイントになるかと。
実際に組んでみて、原型車との違いも確認していこう。
続きは次回!