模型大隊戦闘日誌、始まるよ!
前回はミニアート社のSU-85(r)が無事完成しました。
これでここ1年以内に購入したものはすべて完成したはずですな。
しかしそれ以前のものはまだまだ大量にある。
今回は在庫の航空機模型を引っ張り出して紹介しよう。
まだ在庫があるの?
筆者は無駄に備蓄していますからね。
今回のお題 MPM フォッカーD-21(フィンランド空軍)
今回作るのはこちら。
MPMより、フォッカーD-21(フィンランド空軍)だ。
D-21はD.XXIとも表記する。
MPM……
なんか以前聞いたことあるような。
チェコの模型メーカーですな。
元々はこのMPMという名前のメーカーだったのですが……
2023年7月現在は、そこのブランド名であった「スペシャルホビー」に社名を変更しています。
以前ここでも「スペシャルアーマー」の35(t)指揮戦車を作りましたが、あれはスペシャルホビー(旧MPM)のブランド名です。
そういえばそんな感じだったね。
ブランド名や社名がごっちゃになっているけど、みんな同じ会社という。
フォッカーD-21とは?
この機体は第二次世界大戦の直前、1930年代後半にオランダのフォッカー社が開発した戦闘機だ。
フォッカー社……
あんまり聞いたことがないような。
第一次世界大戦時はドイツにあった会社で
- 世界初のプロペラ同調機銃を備えた単葉戦闘機、フォッカーアインデッカー
- 「レッドバロン」こと、マンフレート・フォン・リヒトホーフェンの搭乗機として有名な三葉機フォッカーDr.I
などを開発していますな。
一次大戦後、ドイツはヴェルサイユ条約の影響で航空機の開発が制限されたため、フォッカー社はオランダに移りそちらで事業を再開します。
……話をフォッカーD-21に戻す。
当初はオランダ領東インド向けに開発されたものだった。
設備の整っていない植民地での運用のため、頑丈さや簡便な構造であることを求められていたようだ。
信頼性の高い固定脚や保守的な鋼管羽布張り構造の胴体なんかに、その様子が見られる。
オランダ領東インド……
現在のインドネシア辺りですな。
フォッカー社の創業者アントニー・フォッカーもそこの出身です。
日本語では蘭印とも書いたりしますね。
ところが当時は
「空中艦隊構想」
「戦闘機不要論」
みたいなものが流行っていた。
その影響でオランダ領東インドは爆撃機メインに方針を転換。
フォッカーD-21の注文はキャンセルされてしまう。
空中艦隊構想……
なんかまたものすごい響きの言葉が。
ものすごく簡単に説明すると
「飛行機は全部爆撃機でいいじゃない?」
みたいな感じですな。
- 高速の爆撃機で戦闘機を振り切る
- 仮に戦闘機が近づいてきたら密集隊形を組んだ爆撃機の機銃の弾幕で撃墜する
- だから戦闘機はいらない
……といった感じに。
後に爆撃機の高速化に限界が来たり、戦闘機が高速化したりしてこの理論は消滅するんだけどね。
そんなこんなで蘭印にキャンセルされてしまったD-21だけど、それを買い取ったのがフィンランド。
完成品のほか製造ライセンス権も購入した。
実際は最初から欲しがっていたそうですが……
- フォッカー社が蘭印とフィンランドの両方の発注を受けきれず、後者のを断った
- 蘭印が注文を急遽キャンセル。
- そこで以前から欲しがっていたフィンランドがキャンセルにあった蘭印の分の本機を購入
といった感じだったそうです。
1939年11月に冬戦争が勃発。
このときフィンランドにはフォッカーD-21が40機ほど配備されていたという。
この戦争で12機(内6機は事故)失われたとのこと。
古そうな設計の飛行機だけど、活躍したのかな?
「した」か「しなかった」かと言われたら「した」ようですな。
冬戦争開始時にまとまった数保有していたまともな戦闘機がこれだけでしたし。
植民地向けの頑丈な構造が、冬のフィンランドでも有利に働いたようです。
冬戦争後、1941年6月の独ソ戦勃発の影響で、フィンランドは今度は継続戦争に突入。
さすがにこの頃になるとフォッカーD-21は旧式化していたようだけどね。
主力としては後にB-239バッファローやBf109Gが引き継ぐことになる。
エンジンや武装を取り替えたり、引き込み脚化なども試したようですが……
どれもうまくいかなかったようですな。
これは大戦後期にエンジンを乗せ換えてパワーアップしたM.S.406とは対照的です。
フォッカーD-21のエンジン交換は性能向上というよりは、英国製のブリストル・ブレニム爆撃機用にマーキュリーエンジンを捻出しようとしたのが目的のようだけどね。
オランダのフォッカー社が開発し、大戦期のフィンランドを支えたフォッカーD-21。
MPM(現スペシャルホビー)のキットで作ってみよう。
箱の中身を確認しよう
それでは箱を開けてみよう。
中身はこんな感じ。
筆者が購入したのは中古品ですが……
内袋を開けた形跡はありませんな。
プラパーツはランナー2枚分。
1/72スケールの航空機模型としては少なめな方だ。
取り付け用のピンとかランナーの部品番号がないね。
これは簡易インジェクションキットというやつかな?
少し細部をアップに。
モールドは基本的に凹タイプ。
ただ機体後半部の羽布張り部分は凸モールド表現です。
見た感じモールドの雰囲気はいい感じ。
気になるのは部品の合いとかだけど……。
その他部品。
クリアーランナーが1枚と、レジンパーツが1つ。
レジンはプラとはまた材質が異なるから、切り出しには注意だ。
レジンパーツ、見た感じプロペラ基部のようですな。
付属のデカール。
相変わらず国籍マークのハカリスティが鉤十字規制の巻き添えになってしまっている。
このキットでは謎国籍マークの上に青い十字を重ねて再現するようになっているんだね。
完全に消されるよりはマシ……といったところかな。
ところで「Suomi 3 sarja」って書かれているけど……。
Suomiはスオミ、フィンランドのことですな。
3 sarjaは第3シリーズという意味です。
フィンランドのフォッカーD-21は何回かに分かれて生産されているようですな。
第3シリーズはフィンランド内でライセンス生産されたものだとか。
収録塗装は4種類。
塗装によって水平尾翼の支柱が異なるので、先にどれにするか選んでおこう。
それぞれ……
- FR-98号機(上面が2色、支柱が2本)
- FR-100号機(上面が2色、支柱が2本)
- FR-98号機(上面が1色、支柱が1本)
- FR-97号機(上面が1色、支柱が1本)
ですな。
今回はFR-97号機にする。
1940年3~4月に存在した個体らしく、この4種類のなかではもっとも古いものだ。
次回、製作開始!
今回はここまで。
次回から製作開始となる。
パーツは少ないんだけど、この手のキットはパーツを合わせるのが難しいからね。
どうなることやら。
MPM系列の簡易インジェクションは今回が初になりますな。
とりあえず、実際に組んでみて確かめることになるだろう。
続きは次回!